どうしてダウン症になるの?


 ヒトは、1番から22番までの番号のついた常染色体を各2本ずつと、性別を決定する性染色体(XやY染色体)2本の、計46本の染色体を一つずつの細胞の中に持っています。

 ヒトは、次の世代に親の情報を伝えるため、減数分裂を繰り返して親の半分の遺伝情報(23本:1番から22番までの1本ずつと性染色体の1本)を精子や卵子(配偶者)の中に保存しています。この過程で21番染色体の分離がうまくいかず(不分離)、配偶子内に21番染色体が2本とも残ることがあります。

 このような配偶子(21番が2本)と通常の配偶子(21番が1本)が出会い、受精卵を形成すると、21番染色体を3本持つダウン症候群(トリソミー型)の赤ちゃんが生まれる可能性があります。トリソミーとは「3本の染色体」ということを意味し、大部分のダウン症候群(95%)は、このタイプです。(稀にモザイク型、転座型などもあります)トリソミー型、モザイク型(発症機序は割愛)は、偶然発症するものであり、「両親の染色体は異常なし」と考えるのが普通ですので、染色体検査は必要ありません。また、妊娠中に起きた出来事(風邪を患った、薬を飲んだ、少量の飲酒・喫煙など)の多くもダウン症候群の発症とは無関係なので、心配ありません。

 ダウン症候群は、世界中のどの国でも、一定の割合(出生700ー1,000人に1人)で生まれており、見通しのある子育てを行う上での有用な臨床情報も豊富な、頻度の高い染色体異常症のひとつです。

 ご協力いただいた医師
  元 群馬県立小児医療センター 遺伝科 吉橋博史先生

ダウン症を持つ人たち    
  体の発達や知的能力の発達がとてもゆっくり
  関節や筋肉が極端に柔らかい(関節の可動域が広く、筋肉がつきにくい)
  合併症を伴うことも多い(心臓、目、耳の病気など)
  体温を調節する自律神経がうまく働かないために、手足が冷えやすい
  (しもやけや唇が割れてしまうこともある)
  顔つきがにているところから、ダウン症とわかりやすい
  聞き取りにくい話し方になってしまう
  (口の中の構造に原因があり、あごの発達がゆっくりのため、耳が聞こえづらかったり、言葉が頭の中にあふれて気が焦ってしまい、早口になったり、吃音になることもある)
  物事を覚えるのに時間がかかる
  (「聞く発達」が「見る発達」よりもゆっくりのため、物真似は上手だが言葉を増やしていくのはとても難しい)

どんなことが必要     
  合併症については、早めに医療機関を受診したり検診を定期的に行い、健康管理に気をつける
  発育については、筋肉がつきにくいことに対し、0歳児からの赤ちゃん体操を行うなど、親子遊びを通して、動く楽しさに興味を持てるようにする
  知的能力については、その子(その人)の不得意とするところを専門家に相談するなど、その年齢に応じた支援を受ける

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