日本ダウン症協会群馬支部

03月

相談室Q&A

~ Q&Aの目的について ~

子どもの成長を支える保護者や大人のかかわり方は、日常生活における行動や物事の理解に大きく影響します。

Q&Aの事例を通して、子供の発達や親子関係の構築に役立てて頂けるようお願いします。

     子育て教室 相談員

 

 

 

Q : 質問 : 小学校高学年

毎日、母親と一緒に歩いて登下校しています。1年生の頃から下を向いて自分の靴を見ながら歩いているように見えます。              

母親と手を繋いでる時は母親の顔を見たりして顔が上がります。道路を渡る時は、足を止めてから顔を上げ左右を確認します。トラックのような大きな音がするとそちらを見るために顔を上げます。何度か友達や校舎の角にぶつかりそうになった事もあります。マラソンや走る時、スーパーでの買い物では顔が上がっています。

顔を上げて周りを意識しながら歩き続けるようになって欲しいです。

A : 答え :

手を繋いで歩く時は、お母さんを意識することができています。また、道路を渡る時やトラックの音が聞こえた時にどうするのかを教えてきたので行動できているのでしょう。

さらに、これまでの経験の積み重ねからスーパーが買い物するところであると、わかっている場合にも行動できています。

以上のことから、学校まで意識して歩いて行くことができるようになることを提案します。

例:お子さんと一緒に学校に向かって歩いている時に、学校についてからのことがイメージできるような話題にします。

 お母さんがお子さんに言います。

『学校に行くと○○先生がいるよ』

『おともだちがいるよ』

『校門が見えたね』

声かけはお子さんがイメージできることばにするとわかりやすいです。

◆やってみての相談

登校時に話しかけながら行くと前を見て歩くようになり、友達を見つけたり朝学校周辺に立つことがある校長先生を探してみたりしながら歩くようになりました。

下校時には、母親が学校のことを聞いています。印象に残っていることがあったときには、学校の出来事を話しながら下を向かずに歩きますが、そうでないときには、ひと言「疲れた」「楽しかった」と下を向いて言います。

そんな時は興味を引く声かけをしますが、パッと見て終わり。朝のようにずっと見続ける事は出来ません。

◆再度のアドバイス

お子さんがお母さんと一緒に帰るのが楽しみになるように、歩きながらしりとりをする感覚遊びを提案します。

歩き始める前に『 お母さんが言うのを、よ~く聞いてね』と言って聞かせます。

しりとりが始まり、お母さんが言ってる時に下を向いて歩いてなかったら『 よ~く聞いてたね』と言って目を合わせ出来たことを伝えます。

 : 効果 :

まず家の中でしりとりをしながら歩いてみると夢中になっていたので、しりとりをしながらの登校を始めました。しりとりをしながらの登校では、楽しそうに答えを考えながら前を向いて歩き、数メートル先から左右を確認し車を気にしている様子がありました。

この登校の様子から今までの会話がつまらなかったのかな?と思い、下校時に、「今日は何して遊ぼうか?」と誘ってみました。すると、歩きながらワクワクした様子で「ジェンガ!」と言っていたので「じゃあそれやろうね」とジェンガの話をしながら帰りました。そして帰宅後は、宿題が終わったあとにジェンガを持ってきて「ママ!やろう!」と誘ってきました。母親とのやりとりの中で、ジェンガをしたいという思いがでてきて家まで楽しく帰って来られたのだと思います。

今まで何度か歩行者や校舎の角にぶつかりそうになった事もあったので、「顔をあげなさい」と、前を向く動作だけを教えていました。

今回、歩きながら子どもが楽しみを感じられるように親がかかわると、お楽しみを意識し続けることができて下を向くことなく学校へ行き、帰って来られることが分かりました。

ありがとうございました。

 ⭐この事例のねらい⭐

子どもの興味を引き出すかかわりをすることで、学校までの行き帰りを目的に向かって意識しながら歩くことができるようにします。

興味や関心を引き出すかかわりは、子どもの集中力や理解力を高める発達に大きく影響すると考えます。